電子回路基板/ソフトウェアの設計・製作
ラズピック電子

実績紹介


事業スタートしたばかりのためラズピック電子としての実績はこれからとなります。そこで過去に設計から手がけて製作した電子機器の中のいくつかをご紹介し実績紹介とさせていただきます。

学生時代(1976〜1979年)

学生時代は学校から近かったこともあり部品屋さんが軒を連ねる秋葉原によく通いました。以下に紹介する2つの機器はその後社会人になって設計者として仕事をしていく原点となりました。

アマチュア無線機10キーコントローラ(周波数切替装置)

   

デジタルICを実装した製品が普及し始めた1978年頃、ロジックIC(SN74シリーズTTLや4000シリーズC-MOS)24個を組み合わせて設計したアマチュア無線機の付属装置を作りました。
アマチュア無線機の周波数切替はダイアルノブを回すタイプが多く、車を運転しながらの操作は安全性に問題があります。「10キーで変更できれば操作性がよくなるのに」と考えましたが当時これを実現した車載用無線機はありませんでした。であれば自分で実現するしかないと作ったのが本機です。無線機のPLL分周回路の2進データと送受信周波数との関係をテスターで調べ、そこにデータを割り込ませることで外部からの周波数設定を可能にしました。10キーを3回(MHz台変更なければ2回)押せばどんな周波数にも瞬時移動が可能で、これにメインCh・メモリーCh機能も装備して使い勝手が向上しましたが、残念ながらその3年後に無線機本体が車から盗難に遭い活躍の場を失いました。しかしこの時の経験は社会人になってからの回路設計業務に大いに役立っています。現在まで残っていたコントローラ単体に40年ぶり通電したところ正常動作が確認できました(上の写真左)。
10キーでの周波数変更方式は、その後市販される車載機・ハンディ機に搭載されるようになり一般化しました。

インテル8080マイクロコンピュータ基板

 

 

1979年、私が所属していた大学研究室の卒業研究テーマは「マイコン及びPLLによる計測システムの開発」でした。PLL発振器を使ってアンプやフィルタの周波数特性を自動計測しTV画面にボード線図を描くというもので、私はその中のマイコンハードウェアの設計・製作とソフトウェア設計の一部を担当しました。マイコンで制御する対象は、PLL分周比・VCOの帯域周波数切替・出力電圧/位相計測値の取り込み・測定データの送出・10キー入力・LED出力など、システム全体の制御を一手に引き受けます。
マイクロプロセッサは、ザイログZ80の前身であり初めてマイコンを世の中に認知させたインテル8080を使用、プログラムはP-ROM 2708x3個(24Kbyte)に書き込み、外部入出力はPIO 8255x3個(72点)を使用しました。設計上最も苦労したのは7セグLED20個のダイナミック点灯です。プログラムの負担を軽減させるため、8080のDMA(Direct Memory Access)機能を使ってCPU動作を周期的に中断させ、S-RAMから直接7セグLEDのセグメントデータを抜き出し、順次LEDを点灯させるハードウェア回路としました。また明るさ確保のために10個のLEDをを2系統に分けて交互にセグメントデータ更新させるなど工夫しています。実装は現在ではほとんど見かけなくなくなったワイヤラッピング方式。はんだ付けより作業性がよく高信頼との評判でしたが、配線はお見苦しい限りです。この時初めてのマイコンハード・ソフト設計の経験が、社会人になってからの応用設計に活かされたと考えます。


社会人時代(1980〜2017年)

オムロン株式会社入社後、家電メーカ様・OA機器メーカ様・搬送機メーカ様などから仕様をいただいてのOEM設計業務を担当、様々な分野でマイコン回路設計・ソフトウェア設計や、速度・圧力・温度制御などのアナログ回路設計を行いました。当時設計に関わった大手家電メーカ様の家庭用エアコンを購入して我が家に取り付けていますが、35年間故障知らずで今も現役で活躍してくれています。これらの事例をここでご紹介したいところですが、業務上の守秘事項になりますので、私的な遊びで製作したものから2点ピックアップして紹介させていただきます。

望遠鏡赤道機の追従モータドライブ

  

中高校時代から趣味の一つだった天体観測、社会人になってようやく念願の天体望遠鏡を購入しました。しかしいつか買おうと思っていた天体追尾用ガイドモータが知らない間に生産中止。そこで2006年望遠鏡メーカを直接訪問して探してもらったところ「制御部は既に在庫ないがモータとギアだけでよかったら1個残っている」とのことで格安で譲っていただきました。購入後しばらく手付かずでしたが、2009年このステッピングモータの制御部分をマイコンで完成させ動くようにしたのが本機です。
@日差1秒以下の時計並み精度 A恒星・月・太陽の速度3段階切替 B単3電池で一晩持たせる などの設計目標を掲げ、ほぼ目標通りの性能を実現できました。このモータドライブは今も月・惑星・星雲・彗星撮影に活躍しています。この時PICマイクロコントローラを使って初めて書いたアセンブラプログラムが今のPICを使った設計の原点になっています。仕様・回路図・プログラムなどの設計情報を、私が所属している西中筋天文同好会会報で2号に分けて掲載してもらいました。特に時間精度(回転速度)に対するこだわりを感じていただければと思います。
http://seiten.mond.jp/gt30/sekidogi.htm
http://seiten.mond.jp/gt31/sekidogi2.htm

VHF/UHF/CATV TVチューナー

  

2001年設計・製作途中のまま完成を見なかった作品です。
当時、秋葉原ではアナログテレビチューナーユニット(写真左の背面金属ケース部)が数百円で販売されており、これを使って設計・製作したのが本機です。VHF・UHFだけでなくケーブルTVまですべてのチャンネルを網羅、10キーでCh変更でき液晶には放送局名表示させるなど使い勝手のよいチューナーに仕上げる予定でした。片面プリント基板はフリーソフトPCBEを使って設計しエッチングも自前で行い、組立・動作チェックまで完了させました。とここまでは順調だったのですが、いざプログラム設計という段階で手が止まってしまいそのまま放置状態。さらにはテレビがデジタル化となり永遠に日の目を見ることがなくなってしまいました。
「なぜ完成できなかったか?」言い訳にしかなりませんが「テレビやレコーダにはケーブルTV含めたチューナーが内蔵されており、本機が必要になる場面が想定できていなかった(完成への動機づけが弱かった)」ことが最大の原因です。
「何の課題を解決するのか?」「それをやることで何がどのようによくなるのか?」今後これを常に考えた受託設計を心掛けていきたいと思います。今後に向けた教訓とすべく、あえて未完成作品をご紹介させていただきました。


ラズピック電子創業(2018年〜)

ページトップにも記載しましたとおり、ラズピック電子としての実績はこれから積み上げていきたいと思っています。少ない実績ではありますが、これまで受託したなかから委託元様のご了解をいただいたもの1テーマを紹介させていただきます。
(”業務内容”ページに添付した写真と同じものです)

プリント基板チェッカー

 

  

ラズピック電子をスタートした2018年にプリント基板(パルス分周ボード)チェッカー製作のご依頼をいただきました。
機能確認だけなら設定値どおりの分周になっているかチェックするだけでOKですが、搭載したPICマイクロコントローラの機能をフル活用して被検査ボード仕様書に記載されている電気的性能を全てチェックできるようにしてみました。電源電圧変動・電源電流測定・外部パルス電圧12/24V共用動作・外部パルス応答速度チェック・最大負荷/最小負荷テスト・被検査基板の動作クロック周波数測定などをハード/ソフトの組み合わせで実現させています。さらに製品リペア(修理)を想定した手動テストモード機能を備え、C言語で約2,000行と基板チェッカーにしては結構なボリュームとなりました。
ハードウェアは、KiCADを使って回路設計・プリント基板設計を行い、生成したガーバーデータを中国のプリント基板メーカに発注し生基板を製作してもらいました。ソフトウェアは、PICマイクロコントローラのメーカであるマイクロチップテクノロジー社の開発ツールMPLABに同社Cコンパイラを搭載してプログラムを開発、同ツールでデバッグを行いました。全体の組立・配線やケースの穴加工・文字フィルム作成についてもすべて自前で行いコストを抑えています。
現在、本チェッカーは被検査基板製造工場の検査工程でご活用いただいており、製品の品質確保持に役立ててもらっています。